今月の主題 遺伝
技術解説
先天性代謝異常症のスクリーニング
一色 玄
1
,
周山 逸人
1
1大阪市立大学・小児科
pp.1598-1602
発行日 1980年12月15日
Published Date 1980/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542915669
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先天性代謝異常症の多くは既に発症し,その症状や経過などから先天性代謝異常症が疑われたものについて,種々精査されて発見されたものである.このようなハイリスクグループに対しては,多少繁雑ではあっても精度の高い方法で,広い分野の疾患を対象として検索することが要求される.現在先天性代謝異常症には200種類以上の疾患が数えられており,またその代謝障害部位も多様多岐にわたっているので,その全域にわたってスクリーニングすることは不可能である,通常その頻度,技術的な問題より,血中あるいは尿中のアミノ酸や糖を対象にしてスクリーニングされる.
これとは異なって,一見健康と思われる新生児を対象に先天性代謝異常症による障害を予防するためにマススクリーニングを行う場合がある.現在フェニルケトン尿症,楓糖尿症,ヒスチジン血症,ホモシスチン尿症,ガラクトース血症について行われているものがそれである.この場合は全出生児を対象にしなければならず,早期に治療することが有効で,その診断,治療も比較的容易な疾患に限られる.以下には主として前者のハイリスクスクリーニングについて述べる(図1,2).
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