グラフ
異常血色素
柴田 進
1
1山口大臨床病理
pp.1769-1771
発行日 1965年12月10日
Published Date 1965/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201084
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溶血液(赤血球を水で溶解させた液)を電気泳動法(濾紙,寒天など)で調べ,正常血色素とちがつた泳動像を有するヘモグロビンを検出すれば,それが異常血色素である。クロマトグラフィー,溶解度試験,Singerのアルカリ変性試験または分光鏡検査でそれを確認する。異常な血色素成分を分離精製し,犬血色素との雑種血色素生成試験またはグロビンの尿素解製濾紙電気泳動法で病的鎖がα鎖かβ鎖か調べる。
それがきまつたらグロビンまたは病的鎖をトリプシンで消化し,消化物のfingerprintをつくる。これに正常な血色素では見られない異常斑点があらわれる。この異常斑点を抽出し,要すればキモトリフシンなどで消化し,再び消化物のfingerprintをこしらえ,正常なものと比べて異常斑点を調べる。それを抽出し,加水分解して薄層クロマトグラフィーなどで水解物を調べ,個々のアミノ酸を検討すると,どんなアミノ酸がいれかわつて異常血色素の病的ポリペプチッド鎖になつたかわかる。
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