シリーズ最新医学講座―遺伝子診断 Application編
異常血色素の遺伝子診断
服部 幸夫
1
,
大庭 雄三
1
Yukio HATTORI
1
,
Yuzo OHBA
1
1山口大学医学部臨床検査医学
キーワード:
異常血色素
,
不安定血色素
,
ドミナントβサラセミア
Keyword:
異常血色素
,
不安定血色素
,
ドミナントβサラセミア
pp.1179-1183
発行日 1997年10月15日
Published Date 1997/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542903452
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はじめに
血色素(Hb)は赤血球中の主要な蛋白で,組織への酸素運搬機能を担っている.Hbはα鎖,非α鎖各2分子ずつからなる四量体であり,成人血球のHb組成は平均してHbA(α2β2)96%,HbA2(α2δ2)2.5~3.5%,HbF(α2γ2)1%以下である.異常血色素症はこの両鎖のどちらかのアミノ酸配列に異常がみられるものである.変異は1996年までで,α,β,γ鎖異常がそれぞれ199,335,68種類に達しているが,このうち頻度が高いのはHbS, HbC, HbEなど数種類に限られる1).日本人には比較的少なく,HbA異常が3,000人に1人,HbF異常が1,000人に1人の割合で見いだされる.最近では高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によるHbA 1 cの分析中に発見されることが多い.このうちの大部分は安定型異常Hb症で,機能的には正常で臨床的意味は少ない.
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