グラフ
オズモメーター
古川 俊之
1
1阪大・内科
pp.1772-1774
発行日 1965年12月10日
Published Date 1965/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201085
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体液滲透圧の正確な測定は体液電解質失調の診断ならびに治療上重要な意義を有し,体液生理の研究にも不可欠である。滲透圧は溶液のモル濃度に比例するので,分子量測定の際と同様,氷点降下度から求めることができる。この場合に要求される精度は±1mOsm/kg H2O程度であるから,従来のBeckmann温度計を使う装置では不十分な点が多く,温度計の熱容量を試料のそれに比して無視できる程度にすること,試料の冷却および氷晶生成が均一に行なわれること,終末点が明瞭なこと,および一回の測定所要時間が短いことなどが要求される。
最近のオズモメーターは温度計としてサーミスターを採用,精度と熱容量の問題を解決し,試料の攪拌,氷結刺激も電気的に一定の条件で行ない,さらに氷晶生成の瞬間を肉眼でとらえる代りに過冷却法を採用して安定した測定値を得ている。この装置の登場によつて,尿濃縮試験が腎障害の早期診断に応用できる程度まで精度が向上したのを初め,基礎,臨床の多方面にわたる進歩がもたらされた。
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