特集 遺伝子検査―診断とリスクファクター
3.遺伝子診断の実際
7) 血色素異常
服部 幸夫
1
,
山城 安啓
1
Yukio HATTORI
1
,
Yasuhiro YAMASHIRO
1
1山口大学大学院医学系研究科保健学専攻病態検査学講座
キーワード:
異常血色素
,
サラセミア
,
遺伝子診断
Keyword:
異常血色素
,
サラセミア
,
遺伝子診断
pp.1439-1443
発行日 2007年11月30日
Published Date 2007/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542101434
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はじめに
成人の大部分のヘモグロビン(Hb)はαグロビン,βグロビンの各2分子ずつからなる四量体である(α2β2).グロビンのアミノ酸配列の異常によって異常Hb(abnormal hemoglobin)が,一方のグロビンのみの産生不良によってサラセミア(thalassemia)が生じる.これを合わせて血色素異常症(hemoglobinopathy)と称している.異常Hbは不安定性による溶血,高酸素親和性による多血症,低酸素親和性あるいはHbM症によるチアノーゼが約30%の異常Hbでみられる(症候性).しかし,多くの異常Hbは臨床的には無症候性である.異常Hbは常染色体優性を示す.サラセミアはα,βグロビンの産生不良をそれぞれα,βサラセミアと称する.小球性赤血球を特徴とする常染色体劣性の溶血性疾患である.β+,α+サラセミアは当該染色体から幾分かグロビンが産生されるが,β0,α0サラセミアでは全く産生されない.日本人に多いヘテロ接合体(軽症型)では,小球性赤血球症がみられるのみで溶血はない.
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