書評
内科医の薬100 Minimum Requirement 第3版
大橋 京一
1
1大分大学・臨床薬理学
pp.676
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107578
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現在,わが国で市販されている医薬品品目数は15,000を超えている.しかし,一般の臨床医が日常診療で使用している医薬品の数は60前後であると言われている.また,医薬品の開発が進み,毎年新しい薬が臨床の現場に登場している.このような状況で,必要な薬の選択に苦労する.近年,EBMの概念が普及し,エビデンスに基づいた薬物治療が重要視されつつあり,1995年にはWHOが医薬品の適正処方のために『Guide to Good Prescribing』を出版した.この訳が『P-drugマニュアル─WHOのすすめる医薬品適正使用』として医学書院より出版されている.P-drugとはパーソナルドラッグの略であり,「自家薬籠中の薬」の意味である.クライテリア(有効性,安全性,適合性,費用)に沿って吟味を行い,自分の処方集に入れる行為を通して,医薬品の評価ができるし,患者への情報提供もスムーズに行えるようになる(わが国のP-drugの情報は「http://p-drug.umin.ac.jp」で得ることができる).
合理的な薬物治療は,的確な診断のもとに,必要な薬を必要な量,期間投与する計画を立て,実行し,評価することである.近年,医学部の卒前教育における薬物治療教育の重要性が指摘され,従来の診断学に偏重していた反省にたって,臨床薬理学教育が全国の医学部で行われるようになった.しかし,数年前よりコア・カリキュラムを中心としたカリキュラム編成が行われるようになってきた.コア・カリキュラムの概念は重要であるが,薬物治療に関する内容が乏しく,過去の診断学偏重に逆戻りした感があると思っている方は私一人ではないであろう.
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