書評
そこが知りたい! 感染症一刀両断!
大西 弘高
1
1東京大学医学教育国際協力研究センター
pp.674
発行日 2006年4月10日
Published Date 2006/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107577
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感染症診療には,専門家が非常に少ない状況が続き,上級医の流儀を下に伝えることが「教育」であると誤解されてきた印象があった.最近になり,米国で感染症に関する研修プログラムを受けた医師たちを中心に,感染症学にもようやくきちんとした学問体系が持ち込まれつつあるが,日本の研修病院でトレーニングを受けて感染症学全般を網羅するというにはまだ時間がかかるかと思っていた.
さて,米国で感染症の専門研修を受けた先駆けである古川先生監修によるこの「感染症一刀両断!」をみると,感染症に対する基本的な考え方,グラム染色,検体のとり方,培養の意義など,感染症診療を行うために必要な臨床検査に関する内容が最初に来ている.感染症診療に切っても切れない微生物系臨床検査をこれだけコンパクトに,かつ分かりやすくしっかりと書いている本は今までなかった.西原先生が臨床(特に内科)に関する基本的な部分からしっかりした臨床トレーニングを受け,しかも感染症についてもかなり本格的に学んだことがうかがわれる.
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