REVIEW & PREVIEW
鉄過剰の弊害と対策
川端 浩
1
1京都大学大学院医学研究科血液・腫瘍内科学
pp.754-757
発行日 2014年4月10日
Published Date 2014/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107487
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最近の動向
鉄はあらゆる生命にとって必須かつ貴重な栄養素である.多くの開発途上国では今日でもさまざまな栄養障害が社会的な問題になっており,鉄欠乏性貧血もその1つである.わが国でも若年女性における鉄欠乏性貧血の罹患率は高い1).しかしながら,「過ぎたるは及ばざるがごとし」で,最近では鉄過剰症についても重要な健康障害として捉えられるようになってきた.
1890年,ドイツの病理学者Friedrich von Recklinghausenは,膵臓に蓄積した鉄が糖尿病の原因になることを見出した.以来,欧米では鉄の毒性,すなわち鉄過剰症の研究が盛んに行われてきた.わが国でも,鉄剤投与による発がんモデル動物の作製など,近年この分野における多くの貢献があった2).
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