特集 小児の鉄代謝
6.鉄過剰症
矢田 裕太郎
1
,
江口 克秀
1
,
石村 匡崇
1
,
落合 正行
1
,
大賀 正一
1
1九州大学大学院医学研究院成長発達医学分野
pp.852-856
発行日 2024年9月1日
Published Date 2024/9/1
DOI https://doi.org/10.18888/sh.0000003140
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鉄は生命維持に必要不可欠な微量元素だが,生体内での代謝は閉鎖系であるため,網内系による再利用が主な供給源である.赤血球輸血は多量の鉄が体内に入ることになり,繰り返す輸血は鉄過剰状態を招く.過剰な鉄は活性酸素種の産生を介して,細胞,組織や臓器の機能障害をもたらす.遺伝性ヘモクロマトーシスはヘプシジン抑制による鉄吸収の亢進によるものが多い.治療は瀉血や鉄キレート療法などの除鉄療法が主となる.鉄過剰症から不可逆的臓器障害を起こさぬよう,成長とともに長期的効果を考慮しつつ鉄過剰状態のモニタリングを行い適切に介入して,臓器障害の進行を予防することが重要である.
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