特集 輸血2018―限りある資源を安全に,有効に活用するために
輸血に伴う遅発性の有害事象
鉄過剰症
鈴木 隆浩
1
Takahiro SUZUKI
1
1北里大学医学部血液内科学
キーワード:
赤血球輸血
,
鉄過剰症
,
鉄キレート療法
Keyword:
赤血球輸血
,
鉄過剰症
,
鉄キレート療法
pp.787-792
発行日 2018年10月1日
Published Date 2018/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_naika122_787
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Summary
▪造血不全疾患に対する頻回の赤血球輸血は,鉄過剰症をきたす.
▪過剰鉄は,活性酸素を産生することで組織傷害を引き起こす.
▪心不全,肝障害は鉄過剰症の重要な合併症であると考えられる.
▪貯蔵鉄は本来肝鉄濃度で評価されるが,臨床現場では血清フェリチン値が有用なマーカーとして用いられる.MRIによる鉄量評価も可能である.
▪輸血依存,高フェリチン血症は低リスクMDSの負の予後因子である.
▪造血不全症に伴う輸血後鉄過剰症では,鉄キレート療法が施行される.
▪強力なエビデンスは存在しないが,複数の観察研究の結果から,低リスクMDS症例では鉄キレート療法が患者予後を改善すると考えられる.
▪高リスクMDS症例における鉄キレート療法の意義は,確立していない.
▪鉄キレート療法による造血改善例が報告されている.
© Nankodo Co., Ltd., 2018