特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液生化学検査
蛋白
栄養評価蛋白
高木 康
1
1昭和大学医学部医学教育推進室
pp.144-146
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104719
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
栄養管理はすべての治療法の基盤であり,栄養状態が不良であればいかなる治療も無効である.そして,適切な代謝・栄養管理により予後を改善でき,不適切な栄養管理は予後を増悪させる.このように,栄養管理,栄養療法は疾患を有するすべての患者において基本的な根幹となる医療行為であり,患者の栄養状態を的確に評価する栄養アセスメントが必要となる.
この栄養状態の評価のための血液・生化学的指標としては,アルブミンやヘモグロビンが測定されていたが,半減期が長いことや造血状態による変動が大きいなどのためにおおまかな指標でしかなかった.このため,近年,血中の半減期の短いRTP(rapid turnover protein)が栄養状態評価の動的指標として利用されるようになった.その代表がトランスサイレチン(transthyretin:TTR,従来はプレアルブミンと呼称),レチノール結合蛋白(retinol-binding protein:RBP)とトランスフェリン(transferrin:Tf)であり,特に前2者は半減期が特に短いため栄養評価蛋白として評価されている.
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