特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
蛋白
栄養評価蛋白
高木 康
1
1昭和大学病院臨床検査部
pp.156-157
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101758
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
栄養評価は医療の原点であり,患者には適切な栄養管理が必要である.この栄養状態の血液・生化学的指標としては,アルブミンやヘモグロビンが測定されていたが,半減期が長いことや造血状況による変動が大きいなどのために大まかな指標でしかなかった.このため,最近半減期の短いrapid turnover protein(RTP)が動的指標として利用され始めた.トランスサイレチン(transthyretin:TTR,従来はプレアルブミン),レチノール結合蛋白(retinol-binding protein:RBP)とトランスフェリン(transferrin:Tf)であり,特に前2者が栄養評価蛋白として測定されている.これらは肝臓で合成され,しかも半減期が数日と短いため,直近の栄養状態を反映し,栄養状態が不良だと低値となる.これら2つのRTPとアルブミンの物理化学性状を比較して表1に示した.
臨床上の重要性と選択
1. 重要な病態
現在の栄養状態の把握:血中の半減期が短いため,直近・現在の栄養状態の把握の指標として優れている.栄養状態の把握により,退院決定,褥瘡の予防,(周術期)の栄養法の選択が可能となる.
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