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異常値が出るメカニズムと臨床的意義
C反応性蛋白(C-reactive protein:CRP)の産生は,分子レベルでは,炎症性サイトカインと称されるインターロイキン(IL)-1,IL-6,IL-14,TNFαなどが肝臓に作用して促進される.これらのサイトカインの産生は,ステロイドホルモン,トロンビン,補体のC5a,ブラジキニン,紫外線,細菌の構成成分であるリポポリサッカライド(LPS)などにより促される.特に,LPSなどによる刺激は強烈なもので,それにより大量のサイトカインとCRPが産生され,これが細菌感染症の際にみられる炎症反応で,CRPが急性反応性蛋白と称せられるゆえんである.同様のことは,体内での組織破壊が起きた際に生じる不要物を除去する反応としても起きるもので,組織の梗塞や火傷などでみられる現象である.
他方,近年,注目を集めている低濃度域でのCRPの増加は,疫学的な研究から年齢,性,出生体重,民族性,社会経済学的状態,肥満指数(BMI),食物繊維・アルコールや脂肪酸の摂取量などと関係することが明らかになってきた.また,CRPが心血管系合併症と密接な関連があることが大規模臨床研究の解析から明らかになった.つまり,動脈硬化は炎症であり,その炎症に反応してCRPが全身の血管でも産生され,そのCRPが動脈硬化の進展に関与するとされている.つまり,CRPの変動のかなりの部分が生活習慣の違いで説明でき,動脈硬化の指標となるわけである.このような事実を受けて,米国心臓協会(AHA)と疾病予防センター(CDC)は,低濃度域でのCRP増加要因として,①高血圧,②肥満,③喫煙,④糖尿病,⑤メタボリックシンドローム,⑥女性ホルモン補充療法が,減少要因として,①適度の飲酒,②定期的な運動,③減量,④HMG還元酵素阻害薬(スタチン)などの薬剤,などが示されている1).
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