特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液検査
凝固・線溶系検査
血液凝固因子
天野 景裕
1
1東京医科大学臨床検査医学講座
pp.107-109
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104706
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血液凝固因子の活性化は,活性化された凝固因子が,特定の凝固因子を引き続き活性化させる逐次反応によって連続的に進行する.したがって,生体内で過剰な凝固反応が進んだときには,多くの凝固因子が連鎖的に活性化され,やがてアンチトロンビンなどにより失活を受ける.すなわち,過凝固状態の初期には,血漿中の各凝固因子の活性が見かけ上増加し,引き続き消費性に低下する.各凝固因子は,主に肝臓で産生され,特定の血中半減期に従って代謝される.この際,凝固因子の血漿濃度は,産生や貯蔵部位からの放出が増えるときには上昇する.各種の誘因によるビタミンK欠乏症では,ビタミンK依存性凝固因子群のγカルボキシル化が抑制され,おのおのの活性は低下する.また,ある凝固因子に対する特異抗体が産生されたときには血中半減期が短縮し,血漿濃度は低下する.
Copyright © 2010, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.