特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液検査
凝固・線溶系検査
血液凝固因子
天野 景裕
1
1東京医科大学臨床検査医学講座
pp.116-117
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101744
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本稿では血液凝固因子の第Ⅱ因子(プロトロンビン),第Ⅴ因子,第ⅤⅡ因子,第ⅤⅢ因子,第ⅠⅩ因子,第ⅩⅠ因子,第ⅩⅡ因子,第ⅩⅢ因子,von Willebrand因子(vWF)について解説する.
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血液凝固因子の活性化は,活性化された凝固因子が,特定の凝固因子を引き続き活性化させる逐次反応によって連続的に進行する.したがって,生体内で過剰な凝固反応が進んだときには,多くの凝固因子が連鎖的に活性化され,やがてアンチトロンビンなどにより失活を受ける.すなわち,過凝固状態の初期には,血漿中の各凝固因子の活性が見かけ上増加し,引き続き,消費性に低下する.各凝固因子は主に肝臓で産生され,特定の血中半減期に従って代謝される.この際,凝固因子の血漿濃度は,産生や貯蔵部位からの放出が増えるときには上昇する.各種の誘因によるビタミンK欠乏症では,ビタミンK依存性凝固因子群のγ-カルボキシル化が抑制され,各々の活性は低下する.また,ある凝固因子に対する特異抗体が産生されたときには血中半減期が短縮し,血漿濃度は低下する.ループスアンチコアグラントや抗リン脂質抗体症候群の血漿では,リン脂質を用いる凝固因子の共通測定系に影響を及ぼし,見かけ上複数の凝固因子活性が低値を示すことがある.
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