特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第8集
血液検査
凝固・線溶系検査
プロテインC,プロテインS
鈴木 宏治
1
1三重大学
pp.104-106
発行日 2010年10月30日
Published Date 2010/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402104705
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生理作用と臨床的意義
血管傷害部位では血液の漏出(出血)を阻止するため止血血栓が形成される.しかし,正常な血管内では血液の流動性が維持されており,血栓の形成は阻止されている.この理由は,血管内皮上に強力な血液凝固阻止機構が存在するためである.血管内皮上の主な血液凝固阻止機構には,アンチトロンビン(antithrombin:AT)制御系とプロテインC(PC)制御系がある.AT制御系については別稿(p. 98)で述べられるため,本稿ではPC制御系について記述する.
PC制御系の主な生理作用は抗凝固作用と抗炎症作用(細胞保護作用)である.この制御系には図1に示す血漿蛋白質のPC,プロテインS(PS),PCインヒビター(PCI),補体系制御因子のC4b結合蛋白質(C4b-binding protein:C4BP)および血管内皮細胞膜蛋白質のトロンボモジュリン(TM),PC受容体(endothelial protein C receptor:EPCR),プロテアーゼ活性化受容体-1(protease-activated receptor-1:PAR-1)などが関与する.
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