技術講座 血液
血液凝固因子測定法
岡村 啓子
1
,
中谷 英徳
1
1京都大学医学部附属病院検査部
pp.103-109
発行日 2001年2月1日
Published Date 2001/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543905723
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新しい知見
血液凝固反応には内因系と外因系の反応があるといわれ,教科書などでは並列して記述されてきた.しかし,生体内で起こる凝固反応は外因系経路が主流であり,血液凝固の開始反応には組織因子(tissue factor;TF)と活性化第VII因子(Vlla)が細胞表面あるいはリン脂質上でTF-Vlla複合体を形成して第IX因子や第X因子を活性化し,凝固力スケード反応を始動することや,第IX因子とMgイオンの凝固開始反応における重要性が明らかにされた.それとともに現在のPT,APTTの測定法では第IX因子活性が正しく反映されていないのではないかと考えられ,アッセイ法の改良が望まれている.また,可溶性組織因子を用いた血中Vllaを直接測定する方法が開発され,心筋梗塞,脳梗塞,糖尿病患者などにおいて血中Vllaの増加が凝固亢進状態に関係していること,血中Vllaの増加が血清脂質とは独立した血栓性疾患のリスクファクターであることなどが明らかにされた,これまで,凝固因子の測定の多くは因子量が低下する病態の診断・鑑別を目的に行われてきたが,血栓性疾患ハイリスク群患者の過凝固状態を早期に把握するという点から,簡便なVlla測定系の開発は重要である.
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