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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗血小板抗体は,主に血小板膜糖蛋白に対する自己抗体と同種抗体との検出法として,3つの方法が知られている1~3).このうち,わが国で標準化されている検査法は,血小板結合IgG(platelet bindable IgG:PBIgG)法と,血小板関連IgG(platelet associated IgG:PAIgG)法の2つである.PBIgG法は,正常血小板か,それに由来した分画に結合できる患者血清中IgGを混合受身凝集反応(mixed passive hemagglutination:MPHA)法で定性的に検出する方法である.非自己の血小板に結合しうる抗体を検出するという手法から,血小板同種抗体の検索に適している.検査は患者血清を用いて行う.採血後すぐに血清を分離して-20℃で凍結保存しておけば,後日測定も可能である.一方,PAIgG法は,血小板に結合している抗体を酵素抗体法やフローサイトメトリー法で検出する方法である.自己抗体の検出感度が高く,自己免疫性血小板減少症のスクリーニング検査に利用されている.検査は患者血小板を用いて行う.クエン酸やEDTAなどの抗凝固薬を用いて採血して,可及的速やかに(当日)検査を開始する必要があり,検体は室温で保管する.
最近では,血小板膜糖蛋白(GP)に特異的に結合する自己抗体IgGを検出する方法がいくつか開発されているが,わが国ではまだ標準化されていない.この検出法は,GPⅡb/Ⅲaのような既知抗原に対する自己抗体が関与する血小板減少症については,その診断において感度と特異性のいずれも優れているが,未知抗原に対する自己抗体が関与する血小板減少症の診断には適さない.
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