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検査の概要
抗血小板抗体は,自己免疫異常で生じ,特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)などの疾患の原因となる自己抗体と,輸血や妊娠で感作されて生じ,主に血小板輸血不応症の原因となる同種抗体の2種に大別される.同種抗体にはさらに抗HLA抗体や抗HPA抗体(血小板の膜糖蛋白のアミノ酸点多型に対する抗体)などが存在する.これらの抗血小板抗体の検出法には,血小板関連IgG(platelet associated IgG:PA-IgG)と,血小板結合性IgG(platelet bindable IgG:PB-IgG)が用いられ,それぞれ抗赤血球抗体検出における直接および間接Coombs試験に相当する.
PA-IgGは患者体内で血小板に結合したIgGのことで,ELISA(enzyme-linked immuno-sorbent assay)法またはフローサイトメトリーで検出する.自己抗体は産生量が少ないので,そのほとんどが血小板に結合しており,血清中から検出することは難しい.PA-IgGは,これまでITPの診断を行ううえでの自己血小板抗体のスクリーニング法として長年測定されてきたが,感度は高いものの特異性は低く,その臨床的意義はほとんどない.2007年に発表された厚生労働省「特発性凝固異常症研究班」によるITPの診断基準案でも,血小板関連GPⅡb/Ⅲa抗体やそれを産生する末梢血中のBリンパ球の増加,網血小板比率の増加,血漿トロンボポイエチンの上昇などが診断基準として採用された(いずれも一般的検査には至っていない)が,PA-IgGは含まれていなかった1).その一方で,PA-IgGはこれまで保険収載されていなかったが,2012年度よりITPの診断または経過判定目的で保険適用となっている.
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