特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
免疫学的検査
自己免疫関連検査
抗リン脂質抗体
松田 重三
1
1帝京大学医学部内科学
pp.454-455
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101867
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
抗リン脂質抗体(anti-phospholipid antibody:aPA)は自己抗体の一種であり,その出現メカニズムは現時点では不明である.aPAは従来リン脂質そのものに対する抗体と考えられてきたが,リン脂質そのものではなく,アポリポ蛋白の一種であるβ2-glycoprotein I,あるいはプロトロンビンなど正常血漿蛋白成分に対する抗体であることが判明している.したがって,aPAはこれら蛋白が何らかの機序で変性,もしくは正常生体構成成分であるリン脂質と結合して新しい抗原性を獲得して産生された自己抗体の可能性がある.全身性エリテマトーデス(systemic lupus erythematosus:SLE)での陽性率が最も高いが,特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)やその他の膠原病,あるいは健常人でも検出される.
代表的なaPAにはELISAで検出する抗カルジオリピン抗体(anti-cardiolipin antibody:aCL)と,凝固検査で検出するループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant:LA)があり,さらに抗プロトロンビン抗体(anti-prothrombin antibody:aPT)が注目されている.aCLとLAは日常検査として実施されており,aPTは研究用試薬(ELISAキット)として発売されているので検査可能である.
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