特集 これだけは知っておきたい検査のポイント 第7集
血液生化学検査
蛋白
α1-アンチトリプシン,α1-アンチキモトリプシン
〆谷 直人
1
1獨協医科大学越谷病院臨床検査部
pp.133-135
発行日 2005年11月30日
Published Date 2005/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402101749
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
急性期蛋白の一種であるα1-アンチトリプシン(α1-antitrypsin:α1-AT)およびα1-アンチキモトリプシン(α1-antichymotrypsin:α1-ACT)は蛋白分解酵素を阻害する蛋白(protease inhibitor)に属し,前者はエラスターゼ,トリプシン,キモトリプシン,コラゲナーゼなど各種のproteaseの作用を中和ないし阻害するが,後者はキモトリプシンやカテプシンGを中和し,またPSA(prostate-specific antigen)と結合する特徴がある.
α1-ATは分子量52kDa,糖含有率12%の糖蛋白で,血清蛋白分画のα1分画の主成分を占める.主に肝細胞で生成され,炎症時には2~3日で基準値の約2倍に達し,炎症の指標となる.また,α1-ATには遺伝型あり,それぞれ血中濃度が異なる.
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