増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅲ.血漿蛋白
2.急性期反応物質
(2)α1-アンチトリプシン
西田 陽
1
1北里大学医学部臨床病理
pp.182-184
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901932
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α1-アンチトリプシン(α1-antitrypsin;α1-AT)は別名α1-プロテアーゼインヒビターで,プロフィールは膵臓由来のトリプシンを阻害する物質で最初に発見されたという意味で命名された血漿蛋白の1つである.
マクロファージなどから産生されるIL-1,IL-6の刺激で肝臓で合成される分子量54,000前後の糖蛋白であり,acute phase reactantsの1つである.血漿蛋白分画上α1グロブリンに属する.肝臓細胞で生成され,血中に分泌される.トリプシンのみでなく種々のプロテアーゼ(キモトリプシン,エラスターゼ,カテプシン,プラスミン,トロンビン,カリクレイン,ウロキナーゼ,コラゲナーゼ,レニンなど)を阻害するプロテアーゼインヒビターの中心的蛋白で,炎症時に上昇するのは,組織を障害から保護する役割があると考えられている.主に組織中で作用する.組織障害が起こると2日目から血中に増加し,さらに2〜3日後に基準範囲上限の2〜3倍にまでに達し,炎症が消退すれば徐々に減少し,基準範囲内に戻る.
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