増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
炎症マーカー
α1-アンチキモトリプシン
稲田 進一
1
,
諏訪 昭
1
1東京都立大塚病院リウマチ膠原病科
pp.40-41
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909746
- 有料閲覧
- 文献概要
検査の目的・意義
α1-アンチキモトリプシン(α1-antichymotrypsin:α1-ACT)は7種類知られている血漿の蛋白分解酵素阻害因子蛋白の一つである.α1-ACT以外にはα2-マクログロブリン,別項のα1-アンチトリプシン,α2-プラスミンインヒビター,アンチトロンビンIII,そしてC1-アクチベーター,インター-α-トリプシンインヒビターなどが知られている.α1-ACTは1962年に,キモトリプシンによるフィブリン分解を阻害し,α1-グロブリン分画に存在する血清糖蛋白として発見されたものである.以前,α1X-グリコプロテインとよばれていたものと同一である.現在は全アミノ酸配列が決定されており,433個のアミノ酸からなる蛋白としてまず肝で合成される.ヒト血中には433個から25個のアミノ酸のシングルペプチド部分がはずれた408アミノ酸からなる蛋白が主として分泌され,これが血中のα1-ACTの90%を占めることになる.このアミノ酸のN末よりさらに15個のアミノ酸がとれた393個のminorα1-ACTも存在する.
Copyright © 1994, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.