増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
炎症マーカー
α1-アンチトリプシン
稲田 進一
1
,
諏訪 昭
1
1東京都立大塚病院リウマチ膠原病科
pp.36-38
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909745
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検査の目的・意義
α1-アンチトリプシン(α1-antitrypsin:α1-AT)は血清蛋白分画上α1-グロブリンに移動度を有する糖蛋白の一種である.α1-ATは血中に存在する蛋白分解酵素のなかでも主要なインヒビターとして知られる.トリプシン,キモトリプシン,カテプシン,トロンビン,エラスターゼ,カリクレイン,ウロキナーゼ,レニン,プラスミン,コラゲナーゼなど種々のセリンプロテアーゼ活性を阻害する.プロテアーゼによりα1-ATの活性部位であるMet358-Ser359間が切断され,同時に1対1の安定な複合体を形成することにより,プロテアーゼ,α1-ATとも活性を失う.白血球や,マクロファージのカテプシン,エラスターゼに対し高い親和性を有し,α1-ATの生理的機能として重要と考えられている.なお,パパイン,ペプシン,プロナーゼなどは抑制しない.
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