特集 感染症の新たな動向
食中毒(細菌およびウイルス)の動向
工藤 泰雄
1,2
1前 東京都衛生研究所微生物部
2現 杏林大学
pp.390-393
発行日 1996年6月15日
Published Date 1996/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401901495
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周知のように,わが国における細菌性赤痢や,腸チフス・パラチフスといった消化器系の法定伝染病は,上下水道の整備など衛生環境の改善に伴い近年激減した.しかし,食品衛生上いわゆる食中毒として取り扱われる疾病,特に細菌に起因する食中毒は現在もその発生頻度が高く,依然無視できない存在である1).また,最近では冬期に発生する食中毒から小型球型ウイルス(small round structured virus:SRSV)が高頻度に認められ,その食中毒起因性が大きな関心事となりつつある.本稿では,食中毒として現在主体を占める細菌性食中毒を中心に,その発生状況など疫学的事項について概略を紹介してみたい.
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