特集 食品衛生行政
食中毒の動向とその対策
藤原 喜久夫
1
1筑波大学社会医学系環境医学
pp.391-396
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205396
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はじめに
近来,わが国においては,赤痢をはじめとして消化器系急性伝染病は急激にそのかげをひそめ,現在は,往時の猛威をしのぶよすがもないほどに減少した.すなわち,昭和27年における赤痢患者数111,709名が昭和50年には僅かに1,498名になり,また,昭和20年の腸チフス患者数57,933名が昭和50年には524名を報告しているにすぎない.しかしながら,食中毒についてみると,その届出制度がはじめられた昭和27年に23,860名であった患者数が昭和50年には45,277名となっており,その間に若干の増減はみられるが,上記の伝染病に示されたような顕著な減少の傾向は認められず,むしろ年によってはかなりの増加さえ報告されている.本稿においては,この現象の発生要因について若干の考察を行い,さらに,これらの食中毒に対する対策に関して,二,三の提案を試みたい.
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