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2021年9月11〜12日に第29回日本健康教育学会学術大会が開催されました.学会長は吉池信男氏(青森県立保健大学)で,実行委員会は最後まで青森での現地開催を模索しましたが,新型コロナウイルス感染症の第5波となる感染蔓延により緊急事態宣言が解除されず,完全オンラインでの開催となりました.さんぽ会や臨床疫学ゼミのメンバーとも「皆でグランクラスで青森に行こう!」と盛り上がっていましたが,その夢は絶たれました.開催方式の変更で,準備は相当大変だったと思います.学会初日早朝のキックオフミーティングにも参加させていただきましたが,吉池学会長がオリンピックチームの監督のようにスタッフの皆さんに檄を飛ばし,オンライン開催のための実行委員会本部の様子を実況してくれるなど,気合十分といった感じでした.
学会のテーマは「わかっているけれど実践しない相手を動かすには?〜現場×研究の力で,健康社会を実現する〜」.学会が長年取り組んできたテーマであり,いまだに全てのフィールドで多くの職種が直面している課題です.まず吉池氏より「人はなぜそれを食べるのか? 未来に向けて考えるべきこと」と題して学会長講演が行われました.食べるということに関して人権,栄養学,生理学,社会環境,ヘルスリテラシーなど,さまざまな側面からその意義や本質を解説し,健康教育やヘルスプロモーションはどこまで介入できるのかを考察した内容です.印象的だったのは,企業が行う食品マーケティングの影響の大きさや「食品の選択」の人権に触れられたことです.「健康日本21」の策定から今日に至るまで,食についての「わかっているけれど実践しない」課題への理論と実践について分かりやすくお話を頂きました.
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