予防と臨床のはざまで
第20回ヘルスプロモーション・健康教育国際会議ダイジェスト(その2)
福田 洋
1
1順天堂大学医学部総合診療科
pp.973
発行日 2010年11月15日
Published Date 2010/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401101963
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今回は学会に合わせてジュネーブで2か所の施設を訪問することができました.1つは関西医科大学の西垣悦代先生が企画してくださったジュネーブ大学付属病院です.WHOのコラボレーティングセンターにもなっている,ジュネーブ大学付属病院の生活習慣病ケアユニット(The Division of Therapeutic Education for Chronic Diseases)を率いるZoltan Partaky先生を訪問しました.健康教育学会を中心とした約15人の大人数の訪問団にもかかわらず,大変丁寧に応対してくださいました.このユニットは35年の歴史があり,糖尿病や肥満をターゲットとした入院による患者教育のプログラムを提供しています.10床の病床を持ち,年間500~700人程度の患者が入院治療に訪れます.ケアチームは医師,看護師,栄養士,臨床心理士,フットケアの専門家等多職種で構成されています.その講義内容は徹底して患者同士のグループワークで行われています.例えば「低血糖を起こした時はどうしているか?」という設問に対して,患者同士が45分間意見や経験を交換し,この様子が別室でビデオに録画されています.ファシリテータは正解も言わず,まとめもしません.日本の糖尿病教育入院と似ていますが,患者同士の気づきを非常に重視したプログラムでした.
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