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今回は前々号,前号に引き続き,「第30回国際産業衛生学会」3日~6日目までの雰囲気を一気にお伝えします.
3日目最初の基調講演は,福島医科大学衛生学・予防医学講座の福島教授から,“Radiation exposure issues in the aftermath of the Fukushima Daiichi nuclear power plant accident and the role of occupational health”と題して,震災後の原発事故とその後引き起こされた放射線曝露を含む住民,労働者,地域社会への様々な影響について報告されました.早朝の講演でしたが会場一杯の参加者が集まりました.福島先生は,3.11以降,地元福島県で起きたことを静かに淡々と話されました.想定外の津波,引き起こされた原発事故,住民を震撼させた水素爆発,避難区域設定をめぐる混乱,その後の風評被害,子どもの外出禁止,長閑で平穏だった生活や風景が一変してしまったこと.多くの日本人にとって,この1年間見聞きし続けた現実が,世界中の研究者,産業保健実践者に伝えられました.原発施設内での事故処理・復旧作業は過酷で,産業保健的課題(放射線,瓦礫撤去,メンタル,ストレス性高血圧等)も多いことが示されました.そして今なお6万人以上の住民が福島県外へ避難中で,ホットラインの相談推移から,働く人の懸念は「休業可否→休業補償→失業・県外への転職」と移り変わったことが示され,今回の震災は住民の健康のみならず,産業そのものに多大な影響を与えたことが想像されました.この状況下で日本中が復興のために必死の努力を続けていること,今後地域が再生し人々の健康が守られるため,住民や労働者自身,地方自治体,中央政府にそれぞれ大きな役割があることが示されました.最後にしだれ桜のスライドが映し出され,聴衆から1分以上鳴り止まない拍手が贈られました.私の2つ目の発表「企業と産業保健スタッフの震災対応について」もこの日無事終了し,福島先生と同一日程であったこともあり,暖かく聞いて頂けました.
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