特集 聴覚障害の早期発見と支援体制
日本における聴覚障害者の早期発見・支援体制の現状と課題
新谷 友良
1
1一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
pp.436-441
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208905
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はじめに
「障害者の権利に関する条約」1)(以下,権利条約)は,障害が「発展する概念であることを認め,また障害が機能障害を有する者とこれらの者に対する態度及び環境による障壁との間の相互作用」〔前文(e)〕と規定する.一方,第25条「健康」で「締約国は,障害者が障害に基づく差別なしに到達可能な最高水準の健康を享受する権利を有することを認める」として,締約国に「障害者が特にその障害のために必要とする保健サービス(早期発見及び適当な場合には早期関与並びに特に児童及び高齢者の新たな障害を最小限にし,及び防止するためのサービスを含む.)を提供すること」〔同条(b)〕を要求している.
権利条約は,障害者の自立や社会参加が損なわれる原因を障害者自身に求める従来の医学モデル的な考えから,障害者の機能障害と社会的障壁との相互作用に見る社会モデルに軸足を移しているが,医療・保健について,25条「健康」や26条「ハビリテーション(適応のための技能の習得)及びリハビリテーション」の規定を置いて,“差別以前にある機能障害”を大きな問題としていることにも注目しなければならない.
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