特集 聴覚障害の早期発見と支援体制
新生児聴覚検査の現状と課題
守本 倫子
1
1国立研究開発法人国立成育医療研究センター感覚器・形態外科部耳鼻咽喉科
pp.442-447
発行日 2018年6月15日
Published Date 2018/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208906
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はじめに
小児の難聴は,早期に発見し,その結果を早期に補聴器装用や療育につなげることが重要である.以前は1歳6カ月健診や3歳児検診,親の気づきや小児科医の指摘などが難聴発見のきっかけとなっており,遅くなることも少なくなかった.その結果,言葉の遅れが発達の遅れと捉えられていたり,十分に言語や語彙力が付かないまま就学の時期を迎えてしまい,小学校で友人とのコミュニケーショントラブルに悩まされたり,学業が付いていくことが困難であったりと,さまざまな問題が生じていた.
しかし,生後半年以内に難聴が発見された場合,それ以降に発見された場合と比較して言語発達が明らかに良好であることが報告された1).その結果,米国のJoint Committee on Infant Hearingは2000年のposition statementにおいて「生後1カ月までに新生児聴覚スクリーニング(newborn hearing screening:NHS)を,3カ月までに精密聴力検査を行い,6カ月までに療育を開始する」という「1-3-6ルール」を提唱し2),このルールが広く知られるようになった.全ての子どもたちが等しくNHSを受けられることが望ましいことは明らかであるが,現時点ではさまざまな課題がある.
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