映画の時間
—その時までは普通の高校球児だった…—野球部員,演劇の舞台に立つ!
桜山 豊夫
pp.341
発行日 2018年4月15日
Published Date 2018/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401208879
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野球を描いた映画では,古くは志村喬の名演が光った「男ありて」(1955年,丸山誠治監督)や,最近では「アゲイン 28年目の甲子園」(2015年,大森寿美男監督)などの作品が記憶に残ります.米国はさすがに野球が国技と言われるほどですから多くの作品がありますが,「がんばれベアーズ」(1976年,マイケル・リッチー監督)は少年野球をテーマにしながらも,人の生き方についてもハッとさせられるような楽しい映画でした.今月ご紹介する「野球部員,演劇の舞台に立つ!」も楽しく観られる作品ですが,その奥で,教育のあり方などについても考えさせられる作品です.
福岡県南部にある八女北高校は高校野球の強豪校で,他校との試合では圧倒的な勝利を期待されているようです.しかし,大雨の翌日でしょうか,グラウンドはぬかるんでおり,完全試合を目前にした9回裏ツーアウトの状況から,平凡な打球を野手がエラーし,逆転のピンチに陥ります.エースの望月(渡辺佑太朗)は,エラーが続く守備陣に不安を抱き,三振をとろうとしますが,かえって長打を打たれ,試合はサヨナラ負けとなって,チームメイトとの間にしこりが残ります.
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