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2018年1月21日(日)に順天堂大学において,平成29(2017)年度日本健康教育学会主催セミナー「健康経営アドボカシーの実践ワークショップ〜大企業の健康経営の経験を中小企業の健康経営にどう活かすか?」が開催されました(http://nkkg.eiyo.ac.jp/privacy/pg156.html).2017年6月に早稲田大学で行われた第26回日本健康教育学会学術大会のシンポジウム「健康経営最前線からの報告—その現状と成果」での議論を継続するためと,さらに,健康教育学会が近年,アドボカシーについてのセミナーを継続開催したことを受けて,学術委員会によって今回のセミナーは企画されました.私が関係している産業保健関連でも,文天シンポジウム(2016年10月)や日本産業衛生学会第37回健康教育・ヘルスプロモーション研究会(2017年5月),さんぽ会夏季セミナー2017(2017年9月)などで継続した議論がなされてきました.今回は「中小企業」にフォーカスを当て,健康経営を推進するために必要な手法や,企業での具体例や成功例を共有し,また,知識や実践スキルを向上させることを目的として開催されました.
神馬征峰学会理事長から開会の挨拶があった後,まず私から「健康経営の現状と最新動向:組織のヘルスリテラシー向上を目指して」と題して基調講演を行いました.働く人の健康を守るうえで,OHS(occupational health and safety)とWHP(workplace health promotion)の統合が進みつつあること,健康経営が福利厚生としてでなく企業と従業員の生き残りをかけた投資として注目されていること,そのゴールは組織のヘルスリテラシー向上であり,成功の鍵はトップのコミットメントと従業員の参画にあり「その企業らしく」取り組むことが重要であるとお話しました.資源・マンパワー・予算が限られる中小企業での展開では,健康経営という独立した業務を増やすのではなく,従来の活動の一つひとつをヘルスプロモーション的に行うことも必要ではないかとも述べました.
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