海外事情
タイ国におけるプライマリー・ヘルス・ケア(1)—プライマリー・ヘルス・ケアは開発途上国の「医療革新」となるか(PHCの背景と理念)
ソムアッツ・ウォンコムトオン
1
,
小林 基弘
2,3
SOM-ARCH Wongkhomthong
1
,
Motohiro KOBAYASHI
2,3
1タイ国立マヒドン大学公衆衛生学部衛生行政学科
2神奈川県平塚保健所
3前マヒドン大学PHC訓練研究センター
1ASEAN Training Center For Primary Health Care Development Mahidol University
pp.849-854
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207166
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■はじめに
現在,開発途上国が直面している問題は数多い.経済開発をめぐる諸問題非民主的で不安定な政治問題,失業,貧因,犯罪,麻薬,売春などの社会問題や教育問題,そして感染症の蔓延をはじめ多くの疾病と絶対的なマン・パワーや施設の不足といった保健医療問題など,いわゆる南北格差の拡大と言われるように,北の先進諸国ではほとんど解決された問題が,南の諸国には今日なお大きく残されており,一層深刻化している場合も少なくない.
この政治,経済,社会の厳しい状況の中で,途上国の保健医療問題を克服するための戦略として上がってきたのがPrimary Health Care(以下,PHCと略す)の概念である.
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