海外事情
タイ国におけるプライマリー・ヘルス・ケア(3)—日本の援助と今後の役割
小林 基弘
1,2
,
ソムアッツ・ウォンコムトオン
3
Motohiro KOBAYASHI
1,2
,
SOM-ARCH Wongkhomthong
3
1神奈川県平塚保健所
2マヒドン大学PHC訓練研究センター
3タイ国立マヒドン大学公衆衛生学部衛生行政学科
3ASEAN Training Center For Primary Health Care Development Mahidol University
pp.129-135
発行日 1986年2月15日
Published Date 1986/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207213
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■はじめに
これまで2回にわたって,開発途上国の抱える保健医療問題とプライマリー・ヘルス・ケアの展開について,タイ国の事例を紹介した.途上国の側からみると,アジアの優等生である日本の経験—とりわけ社会開発や保健医療の分野においては,途上国が今日なお深刻な問題として抱えている貧困や伝染病など,多くの問題を短期間で見事に克服し,母子保健のシステム化や高度な医療水準を達成して世界一の長寿国になった実績と経験—に学ぼうという強い意欲が見られる.
今日では,日本の途上国援助も政府間ベースはもとより,個人や民間ボランティア団体に至るまで,保健医療に関連した分野においても様々な協力・援助活動が行われている.しかし,今後の日本がおかれる立場を考えると,単に経済問題や技術力の優位さからだけでなく,過去の経験や実力を幅広く途上国の開発援助に役立てるべきであり,この日本の役割はより一層大きくなるといえよう.今回は,日本の援助によるタイ国PHC訓練センターの活動を紹介し,途上国のPHC推進について日本はどのような役割を果たすことが出来るのか考えてみたい.
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