衛生公衆衛生学史こぼれ話
17.別天師の生いたち
北 博正
1,2
1東京都環境科学研究所
2東京医科歯科大学
pp.790
発行日 1985年12月15日
Published Date 1985/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207154
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伝記なら最初に登場すべき"生いたち"が,こんなところで出て来るのは少々おかしいが,順不同のこぼれ話なので,お許し願いたい.
彼は1818年12月3日,バイエルン選帝侯国(Kurfürstentum)とファルツーノイブルグ公爵領(Herzogtum Phalz-Neuvurg)の国境にあった税関庁舎に,ヨーゼフ(Joseph)ペッテンコーフェルの8児中の3男として生まれた.この税関には18世紀以来彼の家の者が税関吏として勤務していたが,彼の父の代にバイエルンとファルツーノイブルグの両国は合併し,この税関の建物は不要となってヨーゼフはこれをゆずりうけ,周囲のドナフ河沿岸の湿地帯を開墾することになった.一家は子沢山で,建物は狭く,寝室も不足し,別天師は階段の上がり口の狭いところにベッドを置き寝起きしていた.
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