特集 保健婦の歩んだ道
日本第1期―われらの保健婦の歩み—生いたちから保健婦規則制定の頃まで
齋藤 潔
pp.4-17
発行日 1951年7月10日
Published Date 1951/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662200103
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昭和17年の春頃であろう。保健婦の活動が映畫となつて,廣く世に紹介されるという企てがあつた。その頃の或日,この映畫の原作者舟橋聖一氏は,映畫會社の映畫製作技術者に伴われて,當時筆者の勤務していた築地の東京市保健館に訪ねて來られた。
作者は保健婦については,何も知らなかつた。やがて映畫に見るであろう保健婦の姿を思い浮べて,伸びゆく保健婦をわが子のようにながめていた筆者は,この企てをこの上もない興味と喜びにみちて,末知の作者を相手に,そもそも保健婦の生立ちから今日までの歩みを,そこはかとなく語りつゞけた。その間作者からは意外な質問もとび出したが,ゆるゆる應答して數時間を費した。その日は一應引き上げた作者は,數日後再び筆者を訪ねて,更に質疑を重ねた。文學者としての理解と感覺で概念をつかんだらしい作者は,遠く東北地方までも出かけたりして,かなり苦心を積んで,途に生れたものが保健婦映畫「女の手」であつた。
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