衛生公衆衛生学史こぼれ話(最終回)
56.別天師の最後
北 博正
1,2
1東京都環境科学研究所
2東京医科歯科大学
pp.284
発行日 1989年4月15日
Published Date 1989/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401207922
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この "こぼれ話" に別天師(Max von Pettenkofer)が登場するのは初期のころであるが,その最後については,単に "自殺" とごく簡単に片付けている伝記もある位で,案外知られていないので,少々記すことにする.
数々の業績を挙げた別天師は,国王の信認も厚くミュンヘン市民に崇拝され,また人気の的であった.1872年には名誉市民に推載され金メダルを贈られ,方々の大学から名誉学位を,また諸学会からは名誉会員に推された.1892年(74歳)にはコレラ生菌を嚥むという有名な人体実験を行った.1896年にバイエルン王国の摂政ルイトポルト(Luitpold)は,彼に "Exzellenz"(閣下)の称号を与えたが,これは当時としては最高の栄誉であった.
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