発言あり
インスタント食品
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pp.383-385
発行日 1977年6月15日
Published Date 1977/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205394
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食品と疾病パターン
地理病理学では各地の疾病パターンの異同を論議するが,いうまでもなく,食生活のあり方は病因論上の重要なポイントである.なぜ本邦や南米のチリーなどに胃ガンが多いのか,さらに,難病のひとつであるベーチェット病が戦後多発の傾向になぜあるのか,これらについて環境要因の探索が行われている.一方,逆に消滅に近い疫痢や重症の妊娠中毒症の減少(?)なども,食生活と無縁ではなさそうである.また近年,脚気が再燃しつつあるという報道がある.わがくにの脚気が病像からみて,単にビタミンB1欠乏のみでないらしい,という研究者があり(アメリカのビタミンB1欠乏症の主症状はウェルニッケ症候群であるという),他の付加条件が疑われている.
このような,疾病パターンの時代と場所の変動の要因は,何であろうか.その第一は,食生活の変化であろう.国民栄養調査によると,カロリー,栄養素の摂取状況が著しく改善されてきたことはいうまでもない.しかし,具体的な摂取形態(料理の仕方)の変容は,表面化していない.実感としては,昔の家庭のにぎりめしのようなものが,すっかり即席ラーメンのたぐいで置きかえられたようである.とにかく,予防医学からみれば,インスタント食品の普及が食品衛生上の多くの問題を含むことは事実である.とくに,添加物などによる微量慢性中毒のおそれがないとはいえない.
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