特集 住宅と健康
第8回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題報告Ⅳ
住宅政策のありかた
座長まとめ
大平 昌彦
1
,
朝倉 新太郎
2
1岡大医学部衛生学教室
2阪大医学部公衆衛生学教室
pp.650-651
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203573
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居住者の健康を守る立場からわが国の住宅政策を批判検討しようというのがこのSectionの目的である。
衛生学の祖Pettenkoferは,物理・化学的な居住条件を中心に「住宅衛生」をとりあげ,学問の対象にした。その流れをくむわが国の衛生学もまた「住宅衛生」に関するかずかずの科学的研究成果を蓄積してきた。しかし,これらの成果はごく特殊な場合を除き,居住条件の「あるべき状態」―Soll-zustandを追求したにとどまり,多くの国民の居住条件の改善に役立つように政策に反映することはなかった。しかし今日,住宅問題が国民生活のうえでもっとも切実な課題となり,しかもその解決が土地問題,都市計画などを含めて,まったく個人の能力を越え,公共の力にゆだねざるをえない状況のもとでは「住宅衛生」の死命を制するものはまさに公共の住宅政策にあるといってよい。
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