特集 住宅と健康
第8回社会医学研究会・主題報告と総括討議
主題報告Ⅱ
農村の住生活と健康
座長まとめ
柳沢 文徳
1
,
前田 信雄
2
1東京医歯大医学部
2東北大病院管理学教室
pp.636-637
発行日 1967年11月15日
Published Date 1967/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203566
- 有料閲覧
- 文献概要
このテーマでの報告は柳沢・天明による報告だけであるが,このなかでは,老朽化し不健康性のはなはだしい農村住宅の現状と,それが増悪因子となって多数の循環器疾患を招いている農村の実情,ならびにこれらを改善できないでいる農家の貧困と従来の生活改善運動の限界などについて言及された。これに追加して,青森県の農村を例にして,住宅構造や便所・下水の不完備などの実情が述べられた。
この報告をめぐる討論の第1点は,農村おける住宅改善運動がどういう形ですすめられてきたかに関することであった。報告者からは,明治の頃から主婦たちによる,いわば下からの台所改善運動などが局地的にみられたこともあるが,それが農民運動などとどう結びついたものかどうかは不明であること。また戦後は上からの住宅改善運動が提唱されるが,農民は依然として貧困なために,これが農民自身の運動として展開されるに至っていないことが話された。第2点としては,農村住宅はいかにあるべきかという研究の意義や方法に関する論点がとりあげられた。すでに知られていることは何であり,今後の研究課題は何かということであるが,これについての明確な結論は見出すことができなかったように思われた。
Copyright © 1967, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.