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近年、少子高齢化が進む社会情勢のなかで医療費や年金制度の問題が生じている。その対策として医療制度改革の取り組みがなされ、長期入院の是正、薬剤使用の適正化、医療機関の機能分担および在宅医療の推進が実施されている。これにより、入院期間短縮がおこり、退院後の在宅ケアを必要としている人々が増加している。そのことは、治療後の機能障害、治療に伴った何らかの症状、不安な気持ち、などを持ちながら日常生活を送っている人々が多くなっていることを示している。そのため、これらの人々が入院中から退院後の生活へとスムースに繋げ、在宅での日常生活や社会生活に適応するためのシステム作りが求められている。これは、障害や症状の程度により個人差はあるが、社会生活にうまく適応でき、その人々のQOLを高めることができるようにいろいろな側面から考えていく必要がある。
退院後、以前の健康状態に近づけるための再構築は、退院後に抱える諸問題に対し適切な支援がなされ、在宅で日常生活や社会生活を送れるようにすることである。現状では、入院期間が短縮され不安を持ちながら退院せざるを得ない場合も少なくない。そのことは、退院後の健康管理を患者本人や家族に委ねられることになり、彼らの在宅におけるセルフケア能力に左右されることになる。例えば、場合によっては、退院後の在宅療養が上手くいかず、状態が悪化し再入院になる可能性がある。このことを考えると、退院後のセルフケアに関する患者・家族支援教育が重要になってくる。それには、入院中から外来通院時に至まで患者・家族への継続教育支援、患者会などの社会資源の活用、地域における保健医療福祉の連携、患者自身の自立・自律、セルフケア能力の向上が求められる。それを推進するためには、医療・福祉機関、専門職者、患者会などに包含したネットワーク作り、人材育成が求められる。機能障害や何らかの症状をもちながら生活の再構築し、QOLを高め、自分らしく生活するためにいろいろな支援策を他職者と共働して考え、実行していかなければならないだろう。
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