特集 衛生監視制度
論叢
衛生監視制度のありかたをめぐって
地域の実情に応じた衛生行政の中で
大山 保
1
1名古屋市衛生研究所
pp.142-144
発行日 1966年3月15日
Published Date 1966/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203212
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わが国の衛生監視制度については,その内容,あり方およびこれに従事する者の資格,教育などに関し,中央地方において種々論議,研究されてきたが,最近における産業の著しい発展,都市化による社会生活の複雑化などに伴い解決を要する問題は年々増加するばかりで,今日ではこの制度のあり方は衛生行政全般の進路を左右する最重要な課題であるといわねばならない。昨年,大阪で開催された第22回日本公衆衛生学会でこの監視制度が始めてシンポジウムの議題として取り上げられたが,これを契機にこの重要課題が衛生行政従事者全員の関心事として真剣に検討されんことを希望したい。衛生監視制度--ここでは医療,薬事を除いた食品を含めたいわゆる環境衛生監視--が衛生行政の一部門に加えられたのは今次大戦後であることは周知の通りである。ところが20年を経た今日,この分野の活動は他に比し非常に立遅れているのは何故であろうか? 戦後,解決を要する感染性疾患の問題が山積していたことは否定できないが,私には,より基本的なすなわち衛生行政全般のあり方,すすめ方といった公衆衛生に対する考え方(publichealth minded)の問題をここでもう一度取り上げ,衛生行政の今後の方向を定める作業の内で監視制度の有する意義,役割を再検討する必要があると思う。
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