特集 綜合保健と公衆衛生看護活動
海外事情
ソ連の公衆衛生看護活動—その実情と考え方
橋本 正己
1
1国立公衆衛生院
pp.517-518
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203111
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まえがき
近代公衆衛生活動とそれを支える各種の技術者の機能分化,養成訓練などについては,欧米諸国の場合には過去1世紀の間に,ほぼ一定のパターンが形成されているといえる。日本の場合にも類型的にみればこれらのパターンは,欧米諸国とくに第二次大戦後においては,アメリカの影響を大きく受けて今日に至っていることはよく知られていうとおりである。ところで,少くとも第二次大戦前においては,欧米の先進資本主義諸国は世界の指導的地位にあり,公衆衛生活動についてみてもこのことは例外ではなかったのであるが,大戦後はいわゆる東の諸国としての社会主義諸国の発展がめざましく,公衆衛生活動やそれを支える技術者のパターンについても,従来西の諸国にはみられなかったような新しい方式が登場してきたことは注目されてよい。このことは公衆衛生看護活動についてもいえるのであり,従来ともするとソ連では保健婦というものはみられないというような見方があったのであるが,これは表面的な見方であり,ソ連の綜合的な保健活動の中ではアメリカやイギリスにみられるような専門分化した独立の職種はないが,公衆衛生看護活動の実質的な機能は,力強く進められているといえるのである。
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