特集 綜合保健と公衆衛生看護活動
海外事情
アメリカの公衆衛生看護活動—その実情と考え方
小林 富美栄
1
1東京女子医科大学付属高等看護学校
pp.514-516
発行日 1965年9月15日
Published Date 1965/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401203110
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アメリカにおける公衆衛生看護事業は1893年ニューヨーク市に英国で教育を受けた看護婦によって訪問看護協会が設立され,貧困と病気とで苦しんでいる家族のために,訪問看護による援助をはじめられたのがその起りである。以来この事業は最も迅速に発展したところの組織だった地区保健事業の1つである。2回の世界大戦期において国民の保健事業の緊迫した必要性に対し,大いに活動しその価値を社会に示してきている。公衆衛生看護事業は一般的に経営主体からみて2つの体系に区別される。すなわち,税金によって支持されている公的組織体が行うものと,寄附金,共同募金などが主体となって経営されている私的組織体によるものとである。市,カウンテイ(日本では郡に相当する)州政府,合衆国政府などの公衆衛生局に属する保健婦の活動は前者に該当するものであり,訪問看護協会の活動は後者の代表的なものである。両者の組織体の行う看護サービスは大体公的機関においては伝染病の予防的活動が主体となり,私的機関では家庭におけろ病人看護が中心的機能となっていたが近年はこのようなサービスの区分が的確につけられない程,社会の要求は両組織の活動の結果を接近させている。
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