- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
日本での減塩と米国のDASH食
日本人の食生活が大きく変化したのは昭和40年代から50年代にかけての高度成長期であった.この時代に各地における食塩摂取量と脳出血発症率が正の関係を示す横断的データが示されている1).昭和40年代から50年代への変化として,食塩摂取量の減少と脳出血発症率の低下も示されている.秋田県では食塩摂取量が20g/dayから16g/dayに減り,脳出血発症率(人口千対/年)は3.3から1.9へと低下している.高知県と長野県も食塩摂取量の減少と脳出血発症率の低下が明らかであった.
米国では1997年にDietary Approach to Stop Hypertension(DASH食)の無作為化試験結果が報告された2).この時に提案された食事(後のDASH食)は,果物と野菜を多くして,脂肪を少なくするものであった.脂肪を37エネルギー(E)%から27E%へ,一日コレステロール摂取量も300mg/dayから150mg/dayへ半減した.代わりに炭水化物が48E%から55E%へ,タンパク質が15E%から18E%へ,食物繊維が9g/dayから31g/dayへ,カリウムが1,700mg/dayから4,700mg/dayへ,マグネシウムが165mg/dayから500mg/dayへ,カルシウムが450mg/dayから1,240mg/dayへとそれぞれ増やされた.ナトリウムは3,000mg/day(食塩8g相当)とされていたが,2006年に1,500mg/day(食塩4g相当)もオプションとされた3).当初DASH食の効果は,対象者全体では収縮期血圧(systolic blood pressure;SBP)で−5.5mmHg,拡張期血圧(diastolic blood pressure;DBP)で−3.0mmHgであったが,高血圧群(SBP≧140mmHg,DBP≧90mmHg)ではSBPが−11.4mmHg,DBPが−5.5mmHgとなっている4).ベースライン平均血圧がSBP:134mmHg,DBP:86mmHgの人たちでDASH食+減塩により,一日尿中のナトリウムが3.3g/dayから1.5g/dayに減少すると,さらにSBPは−3.0mmHg,DBPは−1.6mmHg変化した5).
Copyright © 2014, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.