特集 脳血管疾患最前線
脳血管疾患発症予防のための新しい検査手法・バイオマーカー
桑原 和代
1
,
岡村 智教
1
1慶應義塾大学医学部衛生学公衆衛生学
pp.749-755
発行日 2014年11月15日
Published Date 2014/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401200006
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はじめに
昭和20年代後半以降,結核による死亡が減少し,わが国の死因として大きくクローズアップされてきたのが脳卒中(脳血管疾患)であり,1965年をピークとして,1981年に悪性新生物に抜かれるまで死亡原因のトップを占めていた.わが国の循環器疾患予防対策は脳卒中予防から開始され,特に多発していた脳出血対策として高血圧の管理に重点が置かれた.その結果,脳卒中死亡率は激減し,年齢調整死亡率で約5分の1となり,高齢化の進展にもかかわらず粗死亡率でも大きく減少した.
脳卒中の古典的な危険因子としては,まず高血圧,次いで喫煙があり,糖尿病・耐糖能異常も脳卒中の危険因子であることが示されている.また久山町研究から,脳梗塞の一部の病型(アテローム血栓型梗塞)では高LDLコレステロール血症も危険因子であることが指摘されている1).しかしこれらの主要な危険因子をもっていなくても脳卒中を発症する場合がある.また古典的危険因子が同じくらいのレベルでも早期に発症に至る例とそうでない例があり,古典的危険因子以外でハイリスク者を同定できるバイオマーカーや検査手法についての検討が必要である.本稿では血管構造,血管機能,バイオマーカーの3つの視点から新しい検査手法などについてのエビデンスを整理した.
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