視点
禁煙・嫌煙権運動35年と今後の課題
渡辺 文学
1,2,3
1一般社団法人タバコ問題情報センター
2禁煙ジャーナル
3NPO法人日本禁煙学会
pp.266-268
発行日 2013年4月15日
Published Date 2013/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102711
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日本全国タバコの煙は野放し
1978年2月18日に旗揚げした「嫌煙権運動」が35年目を迎えた.当時,新幹線「こだま号」にたった1両の禁煙車しかなく,バス,タクシーはもちろん,病院の待合室に至るまで灰皿が置かれ,公共の場所,職場,野球場,劇場など,日本全国津々浦々,タバコの煙は“野放し”の状況だった.そのような社会情勢のなか,狭い事務室のタバコの煙に悩まされていたコピーライターの中田みどり氏が「タバコの煙は公害」という考え方で,「嫌煙権」を提唱したのである.
当時の社会背景として「日照権」や「静穏権」,「環境権」などがメディアに取り上げられており,言葉に敏感な中田氏が「タバコの煙を嫌う権利も…」ということから,「嫌煙権」を提唱したのである.1976年の暮れだった.その頃,中田氏と上司の藤巻和氏らの『公害の絵本』作りに協力していた私は,1日に60本以上も吸っていたヘビースモーカーだった.
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