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医療の場での禁煙治療の制度化を目指した研究
筆者らは2004年度より厚生労働省の第3次対がん総合戦略研究事業の中で,保健医療の場での禁煙支援・治療の制度化について政策提案を行うための研究(policy research)を実施している1,2).本研究班全体の目的は,肺がんをはじめとする喫煙関連がんの1次予防の推進を目指して,喫煙者に対する禁煙治療・支援の推進と喫煙者の禁煙の動機を高める環境整備の両視点から,禁煙者を増加させるための効果的な方策や方法論を開発するとともに,その普及方策を検討し,政策化の検討に役立つエビデンスに基づいた資料を提示することにある.
本研究の一環として,2006年度の診療報酬の改定に合わせて,医療の場での禁煙治療に対する保険適用の実現を図るべく,政策提言のためのエビデンスを収集・整理するとともに,医学会や日本医師会等の団体・組織と協働して厚生労働省に対して政策提言を行った.保険適用の政策提言にあたっての基本方針として,予防給付がなされていないわが国の現状を踏まえ,喫煙をニコチン依存症という病気として捉え,その治療に対しての保険給付を提案することとした.2006年度の診療報酬の改定から保険適用にあたり,その申請書にあたる「医療技術評価希望書」の作成が必要となった.そこで,関連学会や日本医師会と協働して,同希望書の作成を行うこととし,作成に必要となったニコチンの依存性や禁煙治療の有効性に関する科学的根拠のレビュー,保険適用の対象となる禁煙治療プログラムの検討,禁煙治療を保険適用した場合の医療費への影響の推定,諸外国での禁煙治療の実態の把握などを研究班が中心となって実施した1).そして2005年6月に日本循環器学会が厚生労働省保険局医療課に対して医療技術評価希望書を提出した他,日本気管食道科学会が日本循環器学会が提出した同じ内容の医療技術評価希望書を資料として,日本医師会長宛に禁煙治療に対する保険適用の要望書を提出した.さらに,日本循環器学会や日本呼吸器学会などの禁煙に取り組む9学会が,厚生労働省保険局医療課長に対して禁煙治療の保険適用の要望書を提出した.
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