日本列島
嫌煙権運動と保健・医療従事者の役割—岐阜県
井口 恒男
1
1岐阜県地域保健課
pp.526
発行日 1978年8月15日
Published Date 1978/8/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401205663
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喫煙による害については,国会で取り上げられたり,厚生省でも全国の国立病院や療養所などに喫煙コーナーの設置や禁煙を指示するとか,また,「非喫煙者を守る会」が国鉄に対して禁煙車両を設置していないとして訴訟を起こすなど,全国的にも大きく取り上げられている.東海地方においても,5〜6月にかけ,愛知県をはじめ,三重県や岐阜県の衛生部において,部内会議での禁煙や,県立病院,保健所の待合室の禁煙や喫煙コーナーの設置などを指示し,また,6月4日には各種の運動グループによる「全国一斉禁煙行動デー」の名古屋集会が催されるなど,地域的にも大きく盛り上がってきているようである.
タバコによる健康障害については,従来から諸種の疫学調査や動物実験等の結果から周知の事実でありながら,その予防活動は保健活動の中で十分な位置を占めていたとはいえない.これには,国策として専売公社事業が推進されていることや,成人の50%近くがタバコを愛好していること,なかんずく保健・医療従事者も先進諸国に比べ愛好者が多いことなど,いくつかの理由が挙げられよう.
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